「教えられる」立場から「教える」立場へ
公開済み by サービスマイスター協会 -U174の 人材育成 · 火曜日 20 8月 2024 · 1:00
Tags: 教えられる, 教える, スタッフ, 成長, リーダーシップ, 学習文化, 責任感, 自己成長, チームワーク, キャリアパス, 組織発展
Tags: 教えられる, 教える, スタッフ, 成長, リーダーシップ, 学習文化, 責任感, 自己成長, チームワーク, キャリアパス, 組織発展
企業内でスタッフが育つことは、企業の競争力強化につながることは、周知のことと思います。
そして、多くの企業様では、スタッフを育てるために、キャリアパスを設定し、そのキャリアパスに従って、スタッフの教育を進めていらっしゃることでしょう。
ただ、自発的な部下や後輩を育成していくためには、丁寧に「教えられる」ことより、「教える」経験の方が大切なのではないでしょうか?
サービスマイスター制度をスタートして、17年になりますが、
「教えられる」立場にいることより、「教える」立場を経験した方がスタッフの育成スピードは格段に速くなる・・という思いは日々強くなっています。 近年は、ブラザー制度などを設けて、入社2~3年の先輩スタッフが新入社員を教えるケースも増えてきているように感じます。大変素晴らしいことです。
一方で、それだけが教える機会になってしまっているとしたら残念なことです。
そのスタッフ自身が「教える立場」で知識や経験をアウトプットする機会を複数設けることができれば、成長の機会も増えるというものです。
その体験・経験がスタッフのさらなる成長や企業の成長に寄与する理由について、以下に詳述していきます。
1.責任感の育成
教える立場に立つことによって、スタッフは自分が指導する部下や後輩の成長に対する責任を感じるようになります。この責任感は、単に業務の指示を出すだけではなく、相手の成功や失敗に対しても自分自身が影響を与えているという認識を持つことにつながります。
例えば、部下が業務上の問題に直面した際、自分が正しい指導をしていなければその問題が解決されないかもしれないという意識が芽生えます。こうした責任感が、スタッフをより積極的に部下や後輩の育成に関わらせ、結果として企業全体の成長に寄与するのです。
さらに、責任感を持つことはスタッフのモチベーションにも良い影響を与えます。人は他者に影響を与える立場になることで、自身の行動がより大きな意味を持つと感じるようになり、それが自己の成長意欲を高めることにつながります。このような相互の影響によって、企業内での個人の成長と組織の発展が同時に進行していくことが期待できるのです。
2. 自己成長の促進
教えるという行為は、単に知識を伝達するだけではなく、教える側にとっても非常に学びの多い経験となります。自分が持っている知識やスキルを他者に伝える際には、それを体系的に整理し、わかりやすく説明する必要があります。このプロセスを通じて、教える側も自身の知識やスキルを再確認することができ、曖昧な部分や不足している点に気づくことができます。
また、後輩や部下からの質問やフィードバックを通じて、教える側も新しい視点や考え方に触れることができます。これによって、自己の知識が広がるだけでなく、新しいスキルの習得や既存のスキルの深化が促進されます。したがって、教えることは、他者の成長を助けるだけでなく、教える側自身の成長をも促進する有効な手段となります。
3. 知識の定着と応用力の向上
教えることは、単なる知識の共有だけでなく、教える側にとっても自らの知識やスキルを深める絶好の機会です。教えるためには、知識を分かりやすく伝える能力が求められ、そのためには自身の理解が確実である必要があります。その結果、教える側の知識は一層深く定着します。
さらに、教える過程で実際に直面する問題や質問に対応することで、教える側の応用力が高まります。理論だけでなく、実際の業務にどう適用できるかを考えることで、知識が単なる抽象的なものではなく、具体的な実践的スキルとして磨かれていくのです。
4. リーダーシップの養成
部下や後輩を教える立場に立つことは、リーダーシップを養う絶好の機会です。リーダーシップは単に指示を出す能力ではなく、他者を導き、支え、共に成長していく能力です。このリーダーシップを発揮するためには、教える過程でコミュニケーションスキル、問題解決能力、判断力などが自然と鍛えられていきます。
また、教える立場に立つことで、他者の視点に立って物事を考えることが求められるため、共感力や柔軟性も高まります。
リーダーは多様な個性や背景を持つ人々をまとめ、チームとしての力を引き出す役割を担いますが、教える行為はその能力を養うための重要なステップとなりえます。リーダーシップは単なる役職ではなく、行動で示すものであるため、教えることで日々の業務を通じてリーダーシップが自然に育まれていくのです。
5. チームワークの強化
教える立場に立つことで、スタッフ同士のコミュニケーションが活発になります。教える側と教わる側の間での対話は、相互理解を深め、信頼関係を構築する重要な手段です。
特に、教える側が親身になって相手に向き合い、丁寧にサポートすることで、教わる側も安心して質問や相談ができるようになります。
このようなオープンなコミュニケーションが促進されることで、チーム全体の結束力が強まり、共同で問題解決に取り組む姿勢が醸成されます。結果として、チーム全体の生産性や業務効率が向上し、より強固なチームワークが築かれていきます。
企業内での良好な人間関係は、業務のパフォーマンスに直接的な影響を与えるため、教えることでチームワークを強化することは企業にとっても大きなメリットとなります。
6. 継続的な学習文化の促進
企業内で教えることが奨励されると、自然と学習する文化が根付くようになります。人材育成が単なる一時的なプロジェクトではなく、継続的な取り組みとなることで、社員は日々の業務の中で学び続けることが期待されます。
特に、教える側が新しい知識やスキルを学び、それを部下や後輩に伝えるサイクルが定着すると、企業全体としての知識の蓄積が進みます。
また、教えることで自己の知識が深まるだけでなく、企業内の他のメンバーも同様に学びを共有し合うことで、組織全体のレベルアップが図れます。学び続ける姿勢が評価される企業文化が醸成されれば、社員のモチベーションも向上し、企業全体がよりダイナミックに成長していくことが期待されます。
7. キャリアパスの視野拡大
教える経験は、スタッフにとっても自らのキャリアパスを見直すきっかけになります。単に日々の業務をこなすだけではなく、他者の成長に寄与する経験を積むことで、管理職やメンターとしての道が開けることに気づくかもしれません。自分が教える側としてリーダーシップを発揮できる場面が増えることで、自然とキャリアアップへの意識が高まり、自分自身の成長目標を再設定する機会にもなります。
また、教えることは評価にもつながります。企業内で後輩育成に貢献する姿勢やスキルは、上司や同僚からの評価に影響を与え、将来的な昇進や新しい役割の機会を増やすことができます。従って、教えることは単なる業務の一部ではなく、自己のキャリアを広げる重要な要素となるのです。
■ 結論
教える立場に立つことは、企業内のスタッフが自己の成長を促進し、リーダーシップを養い、企業全体の学習文化を醸成するために非常に有効です。教える行為が、責任感の強化、自己成長、チームワークの向上、そしてキャリアパスの視野拡大につながることで、組織全体の発展にも大きく寄与するのです。